紙吹雪
物取りを逃がす理由など普通あるはずがない。
だが、一行に捕まる様子の無い犯人。
色々な観点から見て歳三が辿り着いた仮説は二つ。
犯人が相当な手慣れなのか。
もしくは犯人を捕まえない理由があるのか。
歳三は前者の可能性は低いと考えている。
その理由としては犯人がまだ子どもだということ。
噂程度の話ではあるが、本当ならば大の大人が捕まえられないのはおかしい。
となると、該当するのは後者になるわけで。
しかし、理由あって捕まらない物取りなどいるのだろうか。そんな話は逸話くらいでしか聞いたことがない。
だが、歳三の頭にはそれに当てはまる何かが確かに存在していた。
それが一体何なのか。
知っているはずなのに、形となって現われてはくれない。