紙吹雪
嫌な予感のした歳三が家の中に足を踏み入れると、辺りは既に赤が飛び散り血液独特の生臭い匂いが充満していて。
あまりの匂いに歳三の足元がふらつく。
しかし、その先に横たわっている男を見つけると歳三は何とか足を踏張りそちらへ近づいていた。
「っ…おい、おっさん!大丈夫か!?」
男の横に膝をつき傷に触れないよう声をかける。
どう見ても助かるような傷じゃない。
出血は酷く、男の下には血が水溜まりの如く広がっているが、辛うじてまだ息はあるようだ。
「……ぅぅ……」
男は苦しそうに顔を歪め低く呻く。
歳三は喋るな!と男に言い聞かせ部屋の中を見渡す。
部屋を荒らされた様子はないが、所々柱に刀傷が残っていた。