兎心の宝箱【短編集】
私、黒河奈美は荒川涼に恋をしていた。

授業中も涼が同じ空間にいると思うだけで、ドキドキが止まらない。

涼の事を好きになったのはいつからだろう?

「ねぇ、奈美ちゃん。僕ここの問題が分からないんだけど教えてくれない?」

涼は、そんな私の気持ちを知ってか知らずか、よくそうやって授業でわからなかった所を聞いてくる。

私は、その度にドギマギしながら答えていた。

そしていつも最後に涼はこう言うのだった。

「やっぱり奈美ちゃんに聞いて良かった、ありがとう」

それも満面の笑みで。


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