兎心の宝箱【短編集】
そんなある日、私に最大のチャンスが訪れた。
私が、一人で街中を歩いてると涼に出会ったのだ。
「あっ! 奈美ちゃん! 外で会うのって初めてじゃない」
いきなり屈託のない笑顔で、こちらに迫ってくる涼に思わず卒倒しそうになる。
「あっ、うん。そうだね」
緊張してるのが、自分でもわかる。
「どこ行くとこなの? 僕、今日予定無くなっちゃって暇なんだ」
涼がこちらを下から覗きこんでくる。
ヤバい……ヤバすぎる。