兎心の宝箱【短編集】
それから、一通りショッピングを楽しんだ私達は、喫茶店に入った。
目の前には、パフェを口一杯に頬張る涼がいる。
あぁなんて幸せなんだろう。
この時間が永遠に続けばいいのに。
私の視線に気付いた涼が、こちらを向いてニッコリ微笑む。
「奈美ちゃんもいる? すっごく美味しいよ」
涼は、スプーンにパフェを掬ってこちらに手を伸ばしてくる。
……裕子、私死んじゃうかも。
「あっごめん。いらなかった?」
固まる私を勘違いして、涼が言葉をかけてくる。
私は、首をブンブン左右に振るとスプーンにパクついた。
……味?
……そんなもの分かる訳がないでしょ!
間接キッスよ! 間接キッス!
あぁ、もう死んでもいい!