兎心の宝箱【短編集】

それから、一通りショッピングを楽しんだ私達は、喫茶店に入った。

目の前には、パフェを口一杯に頬張る涼がいる。

あぁなんて幸せなんだろう。

この時間が永遠に続けばいいのに。

私の視線に気付いた涼が、こちらを向いてニッコリ微笑む。

「奈美ちゃんもいる? すっごく美味しいよ」

涼は、スプーンにパフェを掬ってこちらに手を伸ばしてくる。




……裕子、私死んじゃうかも。

「あっごめん。いらなかった?」

固まる私を勘違いして、涼が言葉をかけてくる。

私は、首をブンブン左右に振るとスプーンにパクついた。


……味?


……そんなもの分かる訳がないでしょ!

間接キッスよ! 間接キッス!

あぁ、もう死んでもいい!

< 114 / 416 >

この作品をシェア

pagetop