兎心の宝箱【短編集】

ドスの聞いた男の声に、体が硬直する。

「テメェも死にてえのか? 抵抗しなければ生かしておいてやる」

そう言って、私の体を男のゴツゴツした手が弄り始める。

目の前には、父と母の遺体……。



自然に涙が溢れだしてくる。

こんな奴の好きには、させたくない。

私は、持てる力の全てを振り絞って抵抗する。

「テメェ! 抵抗すんなって言ってるだろうが!」

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