兎心の宝箱【短編集】
「あの子が感情を表にださなくなるなんて今まで無かった事なの。私、もうどうしたらいいか分からなくて、あの子の友達も良くしらなかったから連絡もできないし」
美紀の母親は、溜め息をつくとアイスコーヒーをかき混ぜる。
ファミリーレストランで会った時彼女は化粧をしていなかった。
余程慌ててきたのだろう。
「すみません私もどういう訳で美紀がああなったのかは分からないんです。ただ家族の方とお話できれば何か分かるかと思って」
優子はそう前置きをして、美紀がおかしくなる前の日の出来事を話した。
「そんな事が!? だとしたら美紀が会ってた人に何か酷い事をされたのかもしれない」
彼女は、一通り話を聞くと驚いてそう返答してきた。