兎心の宝箱【短編集】
 ドアは蝶番のある方から外れ、部屋の内側へと倒れる。

 同時にブワっと鉄の錆びたような匂いを含んだ風が吹き付ける。

 部屋の奥には、執務用に置かれた机があり、その前には豪奢な椅子がこちらに背を向けて鎮座している。

 机の前の窓は空け放たれおり、生暖かい風と共に小降りの雨が入り込んでいる。

 ノーベルは、みんなに扉の前で待つように言うと一人部屋に入る。
 
 部屋に入ってすぐ、中央付近に鍵が落ちているのがわかる。

 ノーベルは、それに触れないように奥に進む。

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