兎心の宝箱【短編集】

「もうこんな茶番はやめにしないかね、ノーベル君」

 少し疲れた声でガッデム警部が呟く。

「まだ密室の謎が解けてませんよ、警部」

 ガッデム警部は、溜め息をついて席に戻る。ロバートとアーリーは少し離れた場所で座る。

「皆さん疲れてきたようですね。では、しようがない。一気に核心へと迫る事にしましょう」

 そう言って再度皆を見回す。

「グレーバー卿の部屋のドアには、何かトリックを使った形跡はありませんでした。警察の方が調べましたが、ピッキングの形跡もありませんでした」

 ガッデム警部は、ノーベルの視線を受けて頷く。

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