兎心の宝箱【短編集】
「という事は、部屋に落ちていた鍵を除くと合い鍵を使うしか方法はありません。そして合い鍵の場所は外部の人間の私達ではわかりません。ミリアさん、貴方以外はね」

「さっき男性が犯人と言ったばかりじゃないですか? 私が、旦那様を殺すわけなんてない」

 ミリアは、泣き崩れる。

「えぇアナタは、殺していないかも知れない。ですがアナタと近しい間柄で男性の方がこの中にいますね?」

 その言葉に、ミリアの顔が蒼白になる。

「うそよ! そんな訳あるはずがない!」

「アーリーさんアナタは、ミリアさんとそうとう仲がいいみたいですね」

 問われたアーリーは、顔を真っ赤にして怒る。

「俺がミリアと仲が良かったらどうだってんだ! なんで動機もない俺がグレーバー卿を殺さなくちゃならない! 侮辱するのもいい加減にしろ!」

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