兎心の宝箱【短編集】
 右の拳を握り締めて、ノーベルに殴りかかりそうになっているアーリーの肩を、慌てて刑事が押さえる。

「少し町で聞き込みしましてね、アナタが冒険から帰ってくる度にミリアさんと会っているのは確認しました。動機までは時間が短かった為確認しておりませんが、それは警察の方が調べ上げてくれるでしょう。」

 アーリーは、叫んでいる。私はやっていない、と。ミリアは、ただ呆然と宙に目をさまよわせている。

「いずれにしても、全ての事象は今ご説明した通り、アナタ達の共犯、もしくはアーリーさんがミリアさんを利用した事を指し示しています」

 ノーベルは、最後にガッデム警部を見て頷いた。

「後は、お任せしますよ警部」

 ガッデム警部は、アーリーとミリアの様子を見て、溜め息をつくと──。

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