兎心の宝箱【短編集】

「してお主が魔王を倒したという証拠はあるのか?」

 ミーツバーグ大陸の中央に位置するアルチーザ王国。
 南にある魔国からの進行を食い止める大陸の要である。

 そのアルチーザ王国の謁見の間で俺は、威厳のある白髭を蓄えたアルチーザ王に謁見していた。
 
 俺が旅に出てから十年、遂に魔王を倒した。

 その報告にきたのだ。

 だが歓迎の言葉もなくこの言葉。

 何かがおかしい。

「はっ!こちらに有ります杖が魔王の物であります」

 俺は、背中のリュックに差していた薄汚れた杖を取り出す。

 主を失った為、杖の先にある紫色の玉は輝きを失っている。


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