兎心の宝箱【短編集】

「お帰りなさいませ、魔王グラン様」

 どこか官能的な響きを含んだ声が私の名前を呼ぶ。

「ミリアか。前回からどれくらいの時が立った?」

 うっすらと目を開くと目の前には、漆黒の翼を携えたサキュバスが跪いている。

「約一千年程経っております」

「そうか。すぐに会議を行う。魔将を全員集めろ」

 それだけ言うと、玉座から立ち上がり円卓の間へと向かう。

< 264 / 416 >

この作品をシェア

pagetop