兎心の宝箱【短編集】
何もない酷く無機質な部屋に二人の男がいる。
ただ部屋の中央、二人が向かい合う真ん中に、球形の青い玉が浮いている。
「これで私の三勝だな、ジャグリ」
人間達の神リエラの言葉に、魔族の神ジャグリが悔しそうに返す。
「くっ、ハンディキャップをやりすぎたか、やはり1対10は、少し無理があったな」
リエラが頷く。
「あぁ魔族の駒を強くしたのはいいが、思いの他人間の進化が早かったな」
「あぁ、この世界で銃が作られるとは思わなかった。次は、戦力以外のレベルも調整しないとな」
そう言ってジャグリは、中央の玉に手を翳す。
球形の青い塊は、一度消えた後再度現れる。
二人の神は、そうやってまた新しい対戦を始めるのだった。