兎心の宝箱【短編集】
 何で説教ばかり受けなきゃいけないんだろう。

「いいか、不幸なんて物も幸せなんて物も勝手に人間が作った妄想だ! この世界には事象しかない。妄想って事は、不幸だと思うから不幸になる。幸せだと思うだけでお前は幸せになるんだ!」

 よく意味が分からない。

 ただ、真剣に目を向けて怒る悪魔を見ていると、少しだけ自分が馬鹿らしくなってきた。

「なんかもういいわ、どうやったら帰れるの?」

「分かってんのかよ? 本当。帰るのは、もう一度魔法陣に同じ言葉を唱えればいい」

 今度は、私が溜め息をついて、魔法陣を広げる。

「なんか悪いわね、仕事に遅れさせて。悪魔に説教されるなんて思わなかったわ」

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