兎心の宝箱【短編集】

「はぁ? 悪魔? あぁ、俺は黒翼種だよ。あの世には、悪魔も天使もいねぇよ。人間と同じように黒人と白人がいるだけだ」

 へっ!?

「さっき、一万二千人もノルマがあるって言ってたじゃない?」 

「あぁ、地縛霊の魂を回収して回るだけだ。今月は、後650人も残ってるんだ。オマケに遅刻だから何て言われるか」

 そう言って、早く呪文を唱えるように促してくる。

 何かよく分からないけど、悪魔……、じゃなかった。

 黒翼種のこの人も大変みたいだ。

「本当にゴメン」

 最後に謝ってから、呪文を唱える。

< 285 / 416 >

この作品をシェア

pagetop