兎心の宝箱【短編集】
「はぁ? 悪魔? あぁ、俺は黒翼種だよ。あの世には、悪魔も天使もいねぇよ。人間と同じように黒人と白人がいるだけだ」
へっ!?
「さっき、一万二千人もノルマがあるって言ってたじゃない?」
「あぁ、地縛霊の魂を回収して回るだけだ。今月は、後650人も残ってるんだ。オマケに遅刻だから何て言われるか」
そう言って、早く呪文を唱えるように促してくる。
何かよく分からないけど、悪魔……、じゃなかった。
黒翼種のこの人も大変みたいだ。
「本当にゴメン」
最後に謝ってから、呪文を唱える。