兎心の宝箱【短編集】

「人は、何故他人を傷つけ殺し合う? 思想の違い、民族の違い、言葉の違い、政治的な駆け引き、色々な軋轢があるだろうだが人は言葉を話せる。理解しあう事ができる筈だ。」

 そこで私は、一つ息を入れ民衆を見回す。

「私は、誓おう! 地球上に住む全ての人の幸せを! この戦いこそが人類最後の戦いとなる事を! 私の理想の先にあるのは、圧制ではない! 社会主義的な思想でもない! ただ一つの理想の元に世界の仕組みを変えなければ必ず不幸な人が出来てしまう。だから戦うのだ! 世界を変える為に!」

 民衆は、静まり返っている。

「私は、今ここに世界政府の樹立と反対する全ての国家への宣戦布告を! 立て民衆よ! 自身の幸せの為に! 自身の平和の為に!」
 
 その瞬間世界の破滅へのカウントダウンが、極東の島国で始まった。

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