兎心の宝箱【短編集】

ワァァァァァア!!

扉をくぐると先程までとはうって変わって、耳をつんざくような歓声が広がる。

見渡す程の動物達。

それが中心にある広場へと歓声を挙げている。



──コロッセオ。


それがこの場を表す最良の言葉だろう。

僕はその一角、全体を見渡す事のできる部屋にいた。

周りの動物達からは、囲いが邪魔になってこちらに来れないようになっている。

僕は、兎に促されるままに王様が座るような椅子へと座った。

「ねぇ? さっきトーナメントとか準決勝とか言ってたけど、もしかして僕が戦うの?」

中心の広場では、カバとライオンが殴り合っている。

「えぇ、アナタの御先祖様が200万年前に優勝したから、アナタ達人間は今まで地球上の支配者として君臨してこられたのです」

受け入れたくないが、目の前で二足歩行をする動物達が否定の言葉を飲み込ませる。

「それより何か食べますか? まだ試合までは十分時間がありますし」

「いや遠慮しとくよ。飲み物だけ貰えるかい?」


──。

< 300 / 416 >

この作品をシェア

pagetop