兎心の宝箱【短編集】
一時間目──。
「有坂さん。教科書は?」
英語の時間も半ば過ぎた頃、教科書を机に置いてない彼女に教師が気づく。
「あっあの。い……犬にさらわれました」
クラスメート一同沈黙。
「はぁ?」
教師も流石にこの解答は想定してなかったみたいで、戸惑っている。
「ええっと、今朝近所の野良犬に襲われて、近くに誰もいなかったから教科書で応戦してて、ほっほら……英語の教科書って分厚いじゃないですか? それで噛みつかれて……。そのまま……」
苦笑いを浮かべながら言う彼女に、教師はそれ以上追求の言葉がでなかったようだ。
早めに新しい物を買うように言うと、隣の人に教科書を見せるようにいい、何事も無かったように授業を続けた。
「有坂さん。教科書は?」
英語の時間も半ば過ぎた頃、教科書を机に置いてない彼女に教師が気づく。
「あっあの。い……犬にさらわれました」
クラスメート一同沈黙。
「はぁ?」
教師も流石にこの解答は想定してなかったみたいで、戸惑っている。
「ええっと、今朝近所の野良犬に襲われて、近くに誰もいなかったから教科書で応戦してて、ほっほら……英語の教科書って分厚いじゃないですか? それで噛みつかれて……。そのまま……」
苦笑いを浮かべながら言う彼女に、教師はそれ以上追求の言葉がでなかったようだ。
早めに新しい物を買うように言うと、隣の人に教科書を見せるようにいい、何事も無かったように授業を続けた。