兎心の宝箱【短編集】

「和也。有坂さんと少し距離を置いた方がいい」

「はあ? 怪我はするけど別に命に別状はないぞ」

「そうじゃなくて。彼女多分いじめられてるぞ、お前のせいで」

 宮村の話だと俺が先に帰った日に彼女の靴がなくなって、上履きで帰ってるのを見たらしい。

 他にも又聞きらしいが、体育の後、教室に着替えに戻ると下着が無くなっていたり。

 トイレに入っている時に上から水を掛けられたり。

 ……そういえば途中から体操服を着ている日があった。

 彼女は汚れたから、と笑っていたので、いつものように何かあったのだろうと追求しなかった。

 宮村は、俺が振った女の子の誰かがイジメてるんじゃないだろうか? と言った。

 確かに俺のいる前では、何も無いことを思うと合点がいく。

 だが……。

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