兎心の宝箱【短編集】

「今日から友達はやめて恋人にならないか? 俺はお前の笑顔を近くで見てるのが一番幸せなんだ」

「はいっ!? え……えぇー!?」

 素っ頓狂な声を上げて、顔を真っ赤にする鈴に笑いが止まらない。

「だって有坂は、世界で一番幸せなんだろう? なら俺を世界で二番目に幸せな男にしてくれ」

「あぅ……あぅ!?」

 鈴が口をパクパクさせて、目をキョロキョロさせている。

「笑うの忘れてるぞ? 返事は?」

 もう少し見ていたいが、返事を促す。

 これで断られた日には滑稽以外の何物でもない。

「あ……はっはい! こちらこそお願いします」

 顔を赤らめて、鈴が頭を下げる。
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