兎心の宝箱【短編集】

「ウム。大正軒のラーメンで許してやろう」

 そう言うとコウは、呆気にとられた顔を上げる。

「え……と。餃子もお付けいたします」 

 少しぎこちないけど、いつものやり取りだ。

 私は、コウの顔が可笑しくて……、とても可笑しくて、声をあげて笑ってしまった。

 つられるようにコウと冬子も笑う。

 もう大丈夫だ。

 いつもの三人だ。

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