聞こえる。
先生の喋り方は子供らしい。

先生がこの学校にきて以来、保健室の利用数は上がり、生徒の間で先生は大人気だった。

理由はやっぱり顔と喋り方。


だけどこの大人気の先生だって、その辺のメス共と変わらない。

見てしまったんだ。
たまたまぶつかった先生のバックのメモ帳からはみ出した写真を……

それは男と写った写真。
しかも…複数の…

かなりの男好きか…たんなる遊びか…
写真に写るのは、人には見せられないようなものばかりだった。



「ばかばかしい…」



本当に…なんであんな奴がモテているんだか。

そういえば、自分も最初はこいつ目当てに来ていたことを思い出し…苦笑した。

自分も周りと変わらない…ただ現実を見ただけだということに…。

そんなことを考えていると…先生が出ていったあとに保健室にリンと響く声が聞こえた。



「先生のこと……知ってるんだぁ?」

「?!」

「あぁ…ごめんごめん…ここだよ。隣のベッド。ずいぶんと先生のこと軽蔑してるような声色だったから…」



隣のベッドの人間が声をかけてきたのは初めてだ。

ただその中に、簡単に見知らぬ人に話しかけるような軽い人間かよと思う気持ちがまざる。



「…別に…んなこと思ってないけど…」

「アハハ…不機嫌だなぁ。私が話しかけたこと…軽い女だって思ってる……ど?当たってるでしょ。」


見事に当てられた。


「…まぁ」

「アハハ…正直だなぁ。……カーテン開けてもいい?暇なんだ。喋り相手になってよ」

「…いいよ」


横で寝てた女はセミロングのくせっ毛のある焦げ茶の髪。全体的には整っている少女というかんじの女。


「ごめんね。あまりに暇で…私、小百合!村上 小百合っていうの。高一。君は?」

「高一。橋本 拓海」

「へぇ…知らない顔だなぁ……クラスは?」

「A」

「なるほど。私はG。端っこだね…わかるわけないや。ね、さっきの続き!先生の本性知ってるの?なんで?」

「写真を…見たんだ」

「あーあ…あれか。趣味悪いよねぇ…私はね、男の人が窓を叩いて入ってきてるの見たの。勇気あるよねぇ…思わず寝たふりしちゃったっ」



結局その日、俺はずっと村上 小百合と話していた。
< 2 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop