先生といっしょ!!
別れと出逢い

いつもはテキトーにおろしてる目立たないこげ茶色の髪をふんわり巻いて


ちょっと厚めの唇からはみ出さないよう慎重にグロスを塗りたくる。


『今夜あなたも彼も絶対離れられなくなっちゃう★誘惑の香り』

と怪しげなキャッチコピーに惹かれて買った紫色の香水を振りまいて……


完璧!!


「店長ぉ~。お先に失礼しま~す」


「OKOK!若菜ちゃん張りきってるねぇ!
今日はお客さんもそんな来ないし。行ってらっしゃーい」


眼鏡の奥の優しい目を細める二宮店長に手を振り、あたしは勢いよく表に飛び出した。


ちょうどいいタイミングで走ってきたタクシーに絶叫する。


「へいタクシーーーー!!」


突然目の前に現れた思いがけない客に、タクシーが慌てて停まる。


「中央公園隣のアパートまで!急いでね!」


若干引き気味の運転手ににかっと微笑み、あたしはタクシーに乗りこんだ。
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