精神の崩壊
 「冗談は、やめて」
 
 良子がいうと、男達は
 
 〈冗談じゃないさ……〉
 〈本気だぜ……〉
 〈最近…正春の奴が、調子に乗ってるからさっ……〉
 〈みせしめだよ〉
 
 そう言って来た。
 
 「みせしめって何よ……」
 
 良子が聞くと
 
 〈あいつ、うざいんだよ…〉
 〈そうそう、ちょっと人気があるからってね……〉
 〈お姉ちゃん、運が悪かったね、あんな所に居るなんて〉
 〈アハハハハハッ〉
 〈居たせいで便乗殺人の餌食かっ、アハハッ〉
 〈題名も決まってるぜっ〉
 〈スクラップだよん〉
 〈アハハハハハッ〉

 男達は、そう言って笑いながら金属バットを取り出した。
 
 「何するの……」
 「止めて……」
 「お願い……」
 
 良子は、男達に助けを求めたが、男達は二人で顔を見合わせニヤリと笑って言った。
 
 〈残念だけどそれは出来ないねっ〉
 〈顔も見られちゃったしね〉
 〈それじゃぁ……〉
 〈死んじゃってっ〉
 
 そう言って男達は、金属バットを勢い良く振り上げた。
 
 「イヤーーーーッ)
 
 そして、良子の悲鳴と共に、金属バットが振り下ろされる。
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