精神の崩壊
電話
 ピルルルルルッ……ピルルルルルッ……

 正春は、電話の呼び出し音にビクリとした。

 正春は、最近電話に出るのが怖く為っていた。

 嫌な予感を覚えつつ、正春は電話に出た。

 「はい、真田ですが……」
 〈ウフッ…あ・た・し……ウフッ〉

 正春は、ぞっとした。

 それは、あの女からだった。

 〈正春、喜んで…ウフッ〉
 〈貴方の為に、また一人ウフッ〉
 〈消して上げたわ……〉
 〈安心して、絵を描いてね〉
 〈貴方の声が聞けて……〉
 〈し・あ・わ・せ…ウフッ〉
 〈時期に、ニュースがあるわ…楽しみにしててねウフッ〉

 ツーッツーッツーッツーッ………

 女は、それだけ言って、電話を切った。

 正春は、受話器を握りしめたまま、固まり、震えている。

 ピピッ…………

 そこへ、キャッチホンが入った。

 それは、警察からだった。

 内容は、また事件発生を告げるものだった……。

 カタカタカタカタ……

 正春が、震える手で受話器を戻すのと同時に……。

 ピッコンピッコ--ン……

 ニュース速報の音が聞こえて来た。

 もう見たくはない、しかし、見ずにはいられなかった。

 そして、そこにはまた…、猟奇殺人を告げるニュースが流れていた……。
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