精神の崩壊
 毎日の様に流れる事件のニュース。

 その、そこかしこに上がる自分の名前……。

 もう、うんざりだった……。

 そんな中、再び電話が鳴り響いた。

 ピルルルルッ……ピルルルルッ……

 正春は、ためらいながらも電話に出た…。

 「はい、真田ですが」

 それは、男からだった。

 〈正春さん…俺…良いネタ持ってるんだよ……〉
 〈一千万で買わないかい?〉

 正春は、男に聞いた

 「ネタって何ですか?……」

 すると、男は喋り出した。

 〈正春さん……たよね〉
 〈証拠もちゃんとある〉
 〈これ以上大変な事に為ったら、大変だろーーっ〉
 〈どうだい、一千万で……〉

 正春に、選択肢はなかった。

 「解った…場所は……」
 「必ず行くよ……」

 そう言って、正春は電話を切った。

 そして、正春は深夜誰にも見付からない様にして、マンションをそっと抜け出し、雨の降る中車を走らせていた。

 男から指定された約束の場所へ向かって。

 そして、間もなくして約束の場所へ着いた。

 男は既に待っており、雨の中ずぶ濡れに為って立っていた。

 正春も雨の降るなか、傘も差さずに林の中に立っている。
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