精神の崩壊
工場
 警察が、消えた少年と少女の行方を探し、また正春に近付く不審な者は居ないか見張っている頃、駒井製作所から大音量で音楽が流れているとの通報が警察に寄せられた。

 駒井製作所は、1ヶ月程前に廃業と為った工場で、音楽等流れる筈が無いにも関わらず音楽が流れている等明らかに不自然だった。

 しかも、大音量でだ……。

 通報を受け、警察が駆け付けると確かに音楽が流れていた。

 チャンチャラランランチャララララッランララ…………

 何処で聞いたような曲が馬鹿みたいな音量で流れている。

 廃業はしているが、まだ電気は来ている様だ。

 何処かに、工場内へ入れる場所は無いか探していると、工場裏の勝手口の鍵が開いていた。

 そして、そこから警察が中へ入り調べていると、工場の中央に目を覆う様な光景があった。

 天井から下がるフックには、ピカピカと点滅をする装飾を施された円盤状の物が吊されている。

 その下には、ベットリとした鮮血に塗れ、頭が潰れ、眼球が飛び出し、皮膚から骨が飛び出し、腹部から内臓をドロリと垂らし、背中に羽を生やした子供達の死体が木馬に乗せられていた。

 子供達は、木馬から落ちない様に喉元から木馬へ鉄筋を打ち込まれ固定されており、木馬や工場の床は滴る子供達の鮮血で真っ赤に染まっていた。

 そして、円盤にそれは貼付けてあった。

 『題名:メリーゴーランドと天使達』

 そして、DVD……。
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