精神の崩壊
更なる狂気へ
 〈ニュース見てくれた〉
 〈貴方の為に……〉
 〈貴方の大切な千春ちゃんを傷付けた……〉
 〈悪い天使を……ウフフッイヒヒッ〉

 女は、異状な程の不気味さを漂わせ……話して来る……。

 正春は怯えながらも言った。

 「お願いだ、もうこんな事は止めてくれ……」
 「なんでこんな事を……」

 しかし女は。

 〈私が許せないのよウフフッ〉
 〈じゃぁね……〉
 〈正春……ウフッウフフッ……〉

 ツーッツーッツーッツーッ…………

 何時迄続くとも解らない女の惨殺行為。

 いったい、これからどう為って行くのだろうか……。

 正春の心に、言い知れぬ不安が込み上げて来る。

 女はいったい何人殺せば気が済むのだろうか。


 正春がそんな事を考え込んでいる中、女は次の芸術へ向けて何やら準備していた。

 〈ウヒヒヒッ……〉
 〈化学式は……イヒヒッ〉

 CIC6H4CHC(CN)2

 〈ウヒヒヒヒヒッ〉
 〈待っててね……〉
 〈正春……〉

 いったい、女は何をしようとしているのだろうか……。

 CIC6H4CHC(CN)2

 とはいったい……。

 この時はまだ、警察も正春もこれから始まろうとしている惨劇等知る由もなかった。
< 62 / 112 >

この作品をシェア

pagetop