精神の崩壊
 この事件を切っ掛けに少しは犯人に近付けただろう。

 後は、問題の女性達を探し出して事情聴取を行い、事件と関係あるかを調べなければ為らない。

 犯人に直接結び付く手掛かりが得られればどれ程良いだろうか。

 捜査員の誰しもが思った。

 来る日も来る日も捜査員達は女性達を探し続ける。

 しかし、一行に見付からないでいた。

 幸いなのは、此処二ヶ月間事件が起こっていない事だけだ。

 女は今何処で何をしているのだろうか、もしかすると気付いていないだけで既に犠牲者が出ているのではないか、捜査員達は不安に思っていた。

 その頃、女は証拠と為る薬品やマスク等の証拠隠滅を行っていた。

 誰も居ない深い山奥で穴を掘り、マスクや薬品、SC精製キッド等を投げ込み埋める。

 〈暫くは、おとなしく……〉
 〈それが1番ね……〉

 女は、そう呟いて山を後にする。

 〈ネットで……〉

 〈お金で……〉

 〈何でも手に入る時代〉

 〈それが例え違法な物でも〉

 〈便利な世の中……〉

 〈最高の時代……クククッ……〉

 女は、帰りの車の中でそう呟きほくそ笑んでいた。
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