精神の崩壊
加藤健二
良子は、サイン会の会場を出て、裏口に来ていた。
朝出て来たのに、もう時刻は4時を回っていて、正春の人気ぶりを身を持って感じさせられた。
一応、サイン会は7時で打ち切りと為る。
後3時間もすれば、裏口から正春が出て来るかも知れない。
同じ考えのファン達が、カメラを片手に正春が出て来るのを待っている。
実は、良子は既に数枚正春の写真を撮っている、たまたま正春と千春が一緒に居る所を撮ったのだ。
(もっといっぱい撮るぞ)
良子がそう思いながら待っていると、先程の男の話しをしている人達がいた。
「さっきの男知ってるか」
「知ってる、加藤健二だろ」
「そうそう、正春と同じ美大出た奴だよ」
「自分の絵が人気出ないから嫌がらせか……」
等と話している。
話しによると、あの男は近所で売れない画家をやっている
『加藤健二』
と言う男だと言う事が解った。
そうこうしているうちに、あっという間に3時間が過ぎて、裏口から正春が、千春の手を引き出て来るのが見えた。
待ってましたとばかりに、皆が一斉にカメラのシッターをきりだした。
カシャカシャカシャ……
〈加藤健二……〉
〈ウヒヒッ…ウヒッ……〉
朝出て来たのに、もう時刻は4時を回っていて、正春の人気ぶりを身を持って感じさせられた。
一応、サイン会は7時で打ち切りと為る。
後3時間もすれば、裏口から正春が出て来るかも知れない。
同じ考えのファン達が、カメラを片手に正春が出て来るのを待っている。
実は、良子は既に数枚正春の写真を撮っている、たまたま正春と千春が一緒に居る所を撮ったのだ。
(もっといっぱい撮るぞ)
良子がそう思いながら待っていると、先程の男の話しをしている人達がいた。
「さっきの男知ってるか」
「知ってる、加藤健二だろ」
「そうそう、正春と同じ美大出た奴だよ」
「自分の絵が人気出ないから嫌がらせか……」
等と話している。
話しによると、あの男は近所で売れない画家をやっている
『加藤健二』
と言う男だと言う事が解った。
そうこうしているうちに、あっという間に3時間が過ぎて、裏口から正春が、千春の手を引き出て来るのが見えた。
待ってましたとばかりに、皆が一斉にカメラのシッターをきりだした。
カシャカシャカシャ……
〈加藤健二……〉
〈ウヒヒッ…ウヒッ……〉