精神の崩壊
 三島と鳩山は、ベンチの前でビクンビクンと激しく引き付けを起こし身体をバタつかせ、胃の内容物と鮮血の混じった嘔吐物を辺りに撒き散らしながら噎せ返っている。

 「ゲホゲホグホッ……」
 「ガハッゲヘッゴホッ……」

 眼球は、今にも飛び出しそうな位に前へ浮き上がり、真っ赤に血走り涙を湛えている。

 そして、三島と鳩山は鮮血と吐瀉物の海でのたうち廻り、海老ぞりに為りもがき苦しみながら闇へと堕ちて行った。

 そして、間もなくしてそれを見ていた周りの者が通報していた病院からの救急車とパトカーが到着した。

 しかし、その時にはもう三島も鳩山も絶命しており手の施し様がなかった。

 周りには、野次馬が何事かとたかり覗き込み、余りの惨状に吐き気を催しその場で嘔吐する者も居た。

 しかし、その野次馬の中に一人ひっそりとほくそ笑む女が居た。

 (手段は選ばない……ウフフッ)

 そして、女は誰にも気付かれる事なく去って行った。

 そして、その後の調査により現場に落ちていた紙コップから青酸性の毒物が検出された。

 そして、この事件に捜査員達は頭を悩ませていた。

 いったい、何時何処で毒物が混入されたのか、またその方法は何なのかと……。
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