精神の崩壊
　仮に草野静恵本人が近付いたので有れば、三島も鳩山も気付いた筈だ。

　しかし、二人は気付かなかった。

　誰かが近付いたにしてもどうやって。

　販売機に仕込んだとしても何時誰が買うか解らない上にそれでは他にも被害者が出る筈だ。

　それに、辺りの販売機からは何も検出されなかった。

　草野静恵が誰かを利用して毒を入れさせたと言う事か？。

　その可能性の方が高い。

　捜査員達は、その線で捜査をする事にし、当時三島と鳩山に近付いた者が居ないか捜査を開始した。

　その結果、赤い服を来た女性が三島にぶつかり、三島が持っていた飲み物がこぼれた為、その後女性が販売機へ飲み物を買いに行き、三島に手渡していたと言う目撃証言を得た。

　証言によると、女性の歳は40歳位で中肉中背だったと言う事だった。

　そして、直ぐに証言を元にモンタージュ写真を作り調査に乗り出したが、以前捜査線上に上がった４名の女性も見付かっておらず、探さなければ為らない女性は草野静恵を省き、これで５名と為った。

　探さなければ為らない女性の人数が増え、更なる負担が捜査員達にのし掛かって来る。

　とは言え、此処でへこたれる訳には行かない。
< 94 / 112 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop