精神の崩壊
 しかし、正春は部屋から逃げ出した後で思った。

 自分も千春も女の血飛痕で汚れているではないか……。

 このままではマズイ、何とかしなければ……。

 そう思い正春は屋敷に何かないか捜す事にして、女が追って来ない様にあの部屋への通路のドアの鍵を掛けた。

 屋敷は可なり大きい様で、いくつもの部屋が並んでいる。

 正春は、手当たり次第にドアを開けて行き、大型のウォーキングクローゼットを見つけだし服を捜していた。

 すると、サイズは少し大きいが男物の衣類が数着掛け有るのを見つけ、出来るだけ地味な物を選び着替えた。

 しかし、千春に着せる服が見付からない。

 やむを得ず適当に服を着せて血の付いた手や顔を洗い屋敷を後にしが、その後あの通路のドアの鍵を開けてくるのを忘れていたのに気付いた。

 恐らくあのままでは、あの女は死んでしまうだろうと思ったが今更戻る訳にも行かず忘れる事にした。

 そして、正春達が逃げ出して3時間殆どが過ぎた頃その屋敷の前に一人の女が立っていた。

 〈正春は此処に居た……〉
 〈あの女……私の正春に〉

 そして、女は屋敷の中へ入って行き屋敷の中を見回し、所々に血痕が付着している見て何か有った事を悟り、血痕を追って歩き出した。
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