狂人の手記(私が猟奇殺人犯と化すまで)
 グニュリとした感触が伝わり口の中に生暖かい鉄の味が広がる。

 指先から溢れ出す液体……。

 ゴリゴリッ…………

 更に歯に力を込め、指先を食いちぎりじっくりと噛み締める。

 ……ゴクリ………

 喉を通り過ぎる少年の指先。

 初めての人肉が胃袋へと伝い落ちる。

 〈クククッ…中々美味いね……〉

 〈さぁ……次はどうして上げようか?………〉

 そう言いながらアイスピックを構え、気を失った少年の瞼をこじ開け眼球を現にする。

 少年の眼球にスルスルと延びる鋭利な切っ先…………。

 そして、静かにその切っ先が突き降ろされる。
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