デュラハン
 光一は取り敢えず、杭を大腿部近くで切り取る事にした。

 唯一の救いは、幾つもの杭の並ぶ中、直径2cm程の細い杭だった事だ。

 光一は、慎重に杭をナイフで削って行く。

 カリカリと杭の削れる音と共に、真也の呻き声が聞こえて来る。

 「グッ……ウゥッ………」

 唇を噛み締め必死に痛みに堪えている真也……その顔は歪み、引き攣り、多量の汗が流れており、その苦痛の程がひしひしと伝わって来る。

 「真也、後少しだ……」

 光一は、そう言って少しでも振動が伝わらない様に気を使い、杭を削り進めて行く。
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