デュラハン
 光一が起き上がり辺りを見回した時には、デュラハンの姿は何処にも見えず、あの不気味な笑い声だけが響いている。

 〈ヌハハハハハハハッ〉

 防具はデュラハンの度重なる攻撃で既にボロボロになり、殆ど役に立たない状態になっている。

 しかし、無いよりはまし。

 光一は身構えデュラハンの攻撃に備える。

 黒い影がスーーッと動いては消え、また別の場所から現れる。

 落ち着くんだ……

 慌ててはいけない。

 そう自分に言い聞かせ深呼吸をする。

 そして静かに弓を引く。

 ピンと張り詰めた空気が辺りに広がる。
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