デュラハン
 逃げられはしたが、同時に命拾いもした。

 光一は再度左腕に矢を仕込み森の中をさ迷い出す。

 森の中には膝丈程の高さまで薄い靄が掛かり足元が見にくくなっている。

 風に吹かれされモアモアと流れるそれが何とも不気味だ。

 歩けど捜せどデュラハンの姿は何処にも見えない。

 そして日が傾き夕の刻になったころ再度デュラハンの姿が現れた。

 デュラハンの右脇腹はえぐれて無くなり左腕と脇腹から延びる筋状の筋肉がウネウネと動いている。

 しかし他の傷は塞がったらしく消え去っていた。
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