人間解体
 夕暮れ時の誰もいない朱い夕日の射す静かな浜辺で、海面と空を染める美しい朱い光りを眺める女性がいた。

 「なんて綺麗なのかしら」

 女性が独りそう呟き、携帯カメラでその夕日を撮ろうとした瞬間……。

 ドスッ……クチャッ……

 女性の身体に衝撃が走った。

 その衝撃を女性は恐る恐る確かめる。

 横腹の辺りに見えるゴム手袋 をした手、そしてその手に握られたナイフの柄、刃は見えない程深く根元まで刺さっている。
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