吸血鬼は恋をした。
「…っ……いい、のか?」
暫くしてディオは静かに口を開いた。
「駄目なら、こんな事しません」
「なん、で…」
「好奇心旺盛なんです。痛いのは嫌だけど…倒れそうな人を、見捨てる人間なんかになりたくないんですっ」
『――タスケテ』
マリの今の行動は、アノ声からか…マリの素の優しさからなのか…
「ディオさん…っ!!」
マリはディオの前に己の腕を出す。
その姿を見てディオはクスッ…と笑い
「血は…腕、から吸う、もので、は、無い…ぞ?」
途切れ途切れにそういうと、マリを自分の方へ抱き寄せた。
「えっ…?」
そしてマリの首筋に自らの手を添え、顔を寄せ
ブスッ!!
吸血鬼にしては細い牙を、マリの肌に突き刺した。
「いっ…あっ…」
マリは首筋を走る鋭い痛みに顔を歪ませる。
ディオはというと、一定時間牙を刺すと抜き、マリの首筋に舌を這わせた。
「ひぁっ…」
ピクリ
その後もディオは、マリの声に反応するか否か…ゴクゴクと、本能のごとくマリの血を吸いつづけた。
ディオの舌は…マリの紅い血で濡れていた。
マリの血を貪るように舐めとり、自分の喉を潤す。