吸血鬼は恋をした。
「どうした?俺はここに…」

「ディオさっ…わっ!!」

突然動いたせいか、マリはクラッとした感覚に襲われる。

(やばい!倒れる…っ)

トサッ…

マリが倒れこんだのはディオの胸の中だった。

「あまり急に動かない方がいい」

「良かった、居た…血吸ったからもう居なくなっちゃったと思って…」

「俺は吸い逃げなんて下種な真似はしない…だが、すまなかった。加減がきかなかったようで、沢山吸ってしまって…」

「あ…だからこんなに目眩がするんですね」

「っ…すまない」

心配そうにマリの顔をみるディオに

「目眩は寝てればよくなると思うから大丈夫ですよ。それよりディオさんこそ、大丈夫ですか?」

マリは微笑んだ。

「あぁ、マリのおかげで助かった。意識も保てる」

「良かった…」

「本当にお前のおかげだ。…ここにくる前にも、1人の人間の血を吸ったんだが…不味くてな」

「ま、不味…?」

そのときの事を思い出しているのか、ディオの表情はみるみるうちに歪んでいき、澄ましているときの表情とあまりにギャップがあったものだから

「あははっ」

マリはつい笑ってしまった。

「な、どうした?」

「いや、ディオさんが不味いとかなんか笑えて」

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