吸血鬼は恋をした。
「ハァ…笑い事じゃないぞ?あわない血を吸うと、命取りになる」

「え…あわない血とか、あるんですか?」

「そうだ。俺のような不完全な吸血鬼は、純潔な血しか吸えない。穢れた血を吸うと体が蝕まれ死に至る」

純潔な血と、穢れた血の違いがわからずマリは首微かに傾げる。

「じゃぁ…私の血は、純潔だったってことですか?」

「そうだ」

「違いって何ですか?どこで区別するんですか?」

「………っ…」

言いにくいのか…頬を少し赤く染め、視線反らし、小さく呟くようにディオは言葉を放った。

「処女か、そうでないか、だ」

「へ…?」

予想外の答えに唖然とするマリ。

「血…吸っただけで、わかるんですか?」

「…あぁ、そうだ。不完全な吸血鬼は、完全な吸血鬼になるまで、1人の人間を傍に置き続ける。俺達の為に快感を求めず、血を差し出してくれる人間だ。その人間を探しに、此処…人間界にきたんだ」

「不完全…?」

初めて出てくる言葉が多すぎて、マリの疑問の投げ掛けも増えてくる。

「人間と一緒だ。生後20年たつまでは、完全な吸血鬼とは認められない」

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