吸血鬼は恋をした。
「怖いな…うん、寝よう!すぐ寝よう!!明日約束あるしっ…!!」

ふかふかの布団に包まれ、眠りに就こうとしたマリだったが…

バリバリッ!!!

「きゃぁっ!!」

さっきの雷鳴よりも、凄まじい雷鳴が響く。

「ホンット…嫌がらせ!?いちいちビビってたら、拉致があかないんだけど…うぅ」

ゴロゴロ……

「ひ…っ!!」

雷雲がゴロゴロと、また鳴り出した。
これから雷が落ちるぞ!と、警告を受けているみたいだ。

「―ッ!!もう寝るっ!」

マリがそう言って布団を頭から被り、窓側に背を向けた時だった。

ドガアァン!!!
ドガッ!!

「ッぎゃぁあぁっ!!!…ハァッ…ッ…へ?…ドガッ?」

凄まじい雷の音と共に、マリの部屋の窓に『ナニカ』が音をたててぶつかった。

「な、に…?」

マリは両方の音に一瞬身体よじらせたものの、窓に警戒心持ちながら近づいていく。

窓に目をやると…

血が…誰のものかわからない血がべったりとついていて

「やっ…!!」

下に視線を落とせば

「コウ…モリ?」

あの羽の生えた獣、コウモリが落ちていた。

「え…この血、この子の?にしては多すぎない…?」

マリが疑問を浮かべているあいだにも、雨は激しくコウモリをうちつづける。

「(どうしよう…でも、この子…ほっといたら死ぬんじゃ…いや、もう死んでる…?)」

ほおっておけなくなったマリは、コウモリを抱え、部屋の中に入れた。

…ピクピクと、かすかに動くコウモリの腹部。

「これって…息してるんじゃ?もしかして、生きてる…!?」

マリはホッと溜め息を付くと、そのコウモリをビニールの上に寝かせた。

「あれ…?」

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