吸血鬼は恋をした。
さっきよりしっかりとコウモリの体を見て、マリの頭にはハテナマークが浮かぶ。

「この子の…傷、何処?」

血はついているのに、傷が見当たらないのだ。

「じゃあ…この窓の血は誰の…?」

窓には血がべっとりとついている。

そうだ…ちゃんと考えればこんな大量の血、この小さなコウモリからでるはずがない。

「なん…で?」

ナニカが…ナニカが起こりそうだ…

怖くなったマリは、コウモリから少し離れた。

その瞬間だった…

パァァッ――

コウモリがキラキラと光を放ち、発光し始めたのである。
……それは、テレビアニメでヒーローやヒロインが変身するシーンによく似ていた。

「え、ちょっ…なにっ!?…私、なにもっ…」

コウモリの発光が終わると、そこには


黒いマントと、ほのかに光る髪をもつ男の姿があった。


「はぃいっ!!?」

…見たこともない男の姿。
この倒れて動かない人物を、どうすべきかさんざん悩んだ末。

『現在進行形で一人』ということを良い事に、部屋にたくさんのタオルをひき、寝かせた。

まじまじと見ると、男の目口許には長く硬そうな、牙のような物が見えていて…その牙や手には血がついていて…

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