吸血鬼は恋をした。
「そっか…そういう事なのか、窓の血はこの人の…」
少し落ち着きを取り戻したマリは、冷静に状況の判断を行な
「って!どうしようっ!!ママに…いや迷惑だし、どうせ信じて貰えないし!何なのこの状況はっ!!」
えなかった。
思考回路が停止するほどに、マリの頭がグルグルとまわる。
「というか…これって…本の中とか、テレビの中でよく見る、吸血鬼…ってゆう……って、トワイライトじゃねーんだよ!!」
ノリツッコミをしつつ、ただただ驚きを隠せないマリ。
とりあえずこのままでは風邪をひくと思ったのか、マリは蒸しタオルを作った。
黒い雨で濡れ、重くなったマントをとると、白いシャツが見える。
思った通り、そのシャツも濡れていた。
「シャツ…あっ!そうだっ」
マリは物置となっていた部屋から父のシャツを取り出し、自分の部屋に持って行く。
「よし、これで…早くしないと風邪ひいちゃうかも…」
そして、急ぎつつ…だが丁寧にシャツを脱がしていった。
「わぁっ…肌白い…」
シャツをも脱がすと露になったのは、シャツとあまり変わらぬ程白い肌。
息はちゃんとしていると判断し、マリはひとまず安心な笑みを浮かべた。
「良かった…人が、しかも自分の家で死んでるとか、縁起でもないもんね…」
人肌にあうような温度にまで下がった蒸しタオルを、少しずつ『彼』の体にあてていく。
温もりが少しでも深くまで届くようにと、祈りながら…