吸血鬼は恋をした。
「電気を…電気を消してくれっ、目がっ…」

「(吸血鬼は暗いところで生きる…?)」

そんな疑問頭の中で浮かべながらも、マリはすぐ電気のスイッチのある所まで駆け寄り、音たてながら電気を消す。

だが、真っ暗というのも会話できないので、一番弱い電気…オレンジ色で部屋が淡い状態になる、そんな色。

「これで…大丈夫ですか?」

「あぁ…」

彼はこの状態なら、としぶしぶOKサインを出した。
そして、自分が何故ここにいるのか不思議そうだったが、外の血の様子などを見て…ようやく自分が何故ここにいるのかについて、予想論をたてられたようだ。

「お前が…色々してくれたのか」

「えと…はいっ!!あの…もう大丈夫なんですか?」

「あぁ、だいぶ良くなった…」

少し怯える声になるマリに、彼はシャツや暖まった自分の顔に手をあて

「その…有難う」

礼を言い、頭を深く下げた。

「お前の名は…?」

「マリ、です。貴方…は?」

「………ディオだ」

「ディオさん…って呼べば良いですか?」

何故だろうか…トラウマから開放されたように、マリに怯えるという気持ちは無くなっていた。

「あぁ、好きにしてくれ」

さっきとは変わり、声に怯えが無くなったマリに、ディオはホッとして微笑んだ。

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