もしも天使になったら
その夜だった。

あたしは、どうしようもなくて、ずっと病室にいた。

―ガラッ…―

あたしは、重たい瞼を持ち上げながら斜め上を見た。

複雑な表情をした病院の先生が立っていた。

あたしは、ふと、思い出す。



―――その内話されるから―――



礼実が言ってた。

きっと哀しいことだ。

「朝比奈苺(アサヒナ イチゴ)さん、突然なんですが…」

「はい…」

それなりの覚悟は出来てる。

礼実を信じてるから。













「余命1ヶ月です…」









「えっ…」








それには驚いた。

どうして?



こないだまで、ぴちぴちだった筈なのに…

元気だよ?

あたし、元気だよ?

ねぇ…



頬をつたう、なま暖かいもの…

礼実はあたしを気遣ってただけなんだ…

あたしは勘違いしてたんだ。

礼実が、いつもの様に少しイジワルしてると思おうとしてたら…



ホントにそう思ってしまった。


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