隣人の狂気

発芽

事件の前と後では同じ物は何ひとつなかった。

住まい、環境、友達、学校、家族
…そしてワタシ自身。

でもワタシ自身だけは事件によっての変化じゃない。

あのお父さんが帰って来なかった日にワタシの心に『種』が植えつけられたのだ。

一人で過ごした二日間にそれは取り除けないほど深く潜った。

環境の変化とかでバタバタしている頃にひっそりと発芽し、根を広げてゆく。

ワタシが中学生になる頃にはもうハッキリと、ワタシに影響を及ぼしていた。

いや、ワタシを蝕んでいた。

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