隣人の狂気
縁側はお父さんの手でプラスチックの浪板で軒が拡張されている。

雨の日でも洗濯物が干せるようにと、昼間家が空く父子家庭なりの工夫である。

その軒の下に駆け込んでやっと雨から逃れられてホッと一息。

ただいまも言わず家にあがり、まずランドセルを自分の部屋に放り投げる。

我が家は狭くて暗い平屋の古い日本家屋だけど二人暮らしなので元々部屋は余っていた。

「これからこの部屋はワタシの部屋だからお父さんは入っちゃダメ!」

と宣言したらアッサリと(今思えば感慨深げに)認められた。

雨に濡れた髪を拭こうと洗面所に行く途中でソレに気が付いた。
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