隣人の狂気
どう考えても胡散臭い話だったけど結局ワタシはお願いする事にした。

オバサンは驚きつつも嬉しそうに我が家の重要書類とか印鑑を持って帰った。

帰り際ちょっと涙目になりながら、信用してくれてありがとうと深々と頭を下げていった。

残念だけどオバサンは勘違いしているよ。

まずワタシが手続きとかを頼んだのは、自分でやるのがただひたすら面倒臭かっただけ。

それとオバサンを信用した訳でもない。

奪われたら殺してでも奪い返せばいいと軽く思っただけ。

結果的にオバサンへ預けたのは正解だったけど、この時のワタシは気付いてなかった事がある。

それはこの時点ではオバサンとワタシを繋ぐのはオバサンからもらった名刺だけで、その名刺が偽物だったら何もかもを奪われる所だったのだ。
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